Vol 9 – 5 My プロジェクト 密かな企み

有り余る手札を絞り込むのも悩ましき葛藤の日々を過ごしてようやくヘッドに掛かります。当初から純正ヘッドを使うのは決めてましたが何年式を使うかで妄想しましたが折角誰も持ってないだろう絶販のS & Sパン用NOSに組む事から秘蔵の’56 BCジェロラミー・チューンヘッドを選びました。
もう20年以上寝かしてましたが良い機会なのでPANヘッドについて次の世代に向け語り残しておこうと思います。
見た目が全ての日本では純正・社外の区別はおろか乗り難くてもスタイル良ければ文句なしで他人に見せる事で全ての喜び感じる奇妙な流行ですが・・・

H-D社も初めてのアルミヘッドなので試行錯誤が際立って目立ちますが取り分けフィン形状から放熱問題の解決に苦しんでた様です。大きく分類すると前中後期の3タイプになりますがFLHタイプの出現から排気バルブ側の放熱不足が顕著になって来ました。
フィンが薄すぎて総面積も現代の風洞実験から予測可能な追究法では無いのでカンに頼るだけでスポーツ走行などは思いも寄らない事から会社の方針は製造方法の良否が全てでした。
その為CAL ハイウエイパトロールなどは独自のギヤ比、ダイナモ改造等で高速化に備えてました。
私は70年代にUSAで62年デュオで走る機会が有りましたがシエラネバダの峠を登った際にスロットル全開なのにみるみるスピードが落ちて行きヒート状態を経験しました。
一般道の走行ではなった事の無い状況ですが空気の薄さも有り放熱不足を身を持って実感しました。
話を戻しますが今回のプロジェクトでは徹底的に空冷の観点からPANの弱点に対処していこうと考えてます。先に触れた大出力ダイナモの強制空冷もその一環になります。
ヘッドからのオイルリターン経路は熱いオイルをさらに熱いシリンダー内を通すのでは無くバルブ位置に穴を開け直接外部ホースによりケースに落下させます。
フィンはドリリング等では足りず排気側に特製ヒートシンク(放熱器)を溶接します。
ドカッティなどイタ車チューンでは最新のブレーキキャリパーにはラジエーター(放熱器)と称してマウントボルトにも円盤を付与していますので同様の効果を狙います。
ホットロッダーは常に最新テクノロジーにも目を向けます。

ヘッドのエキパイ装着口もPANの弱点ですがオールドスクールの見事な加工をお見せしましょう。良く行われるのは薄くなった排気口を切り取り新たにパイプを溶接しますがジェロラミーが私のヘッドに行ったのは表だけでは無く内側も溶接してから特殊治具にセットして元からそうだったかの様にフライス加工しました。
恐らくこれが出来るのはUSAでさえもう出てこないでしょう。素晴らしきかなOldクラフツマンシップ !

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